キャリアに悩んでも、キャリアコーチングはいらないという話

キャリアコーチングはいらない

キャリアコーチングサービス、というのが増えている。

転職するか悩む、次のキャリアをどうしたらいいか決められない、自分に合った仕事が何なのか相談したい、という悩みに答えるサービスのようだ。

僕はこれまで8回転職してきた。短大卒で、新卒は年収240万円の地方ホームセンターに入社した。

そして、8回の転職を経て年収は1,500万円になった。詳しい経歴はこちらを見てもらえばわかる。

キャリアには何回も悩んだし、苦労もした。だからこそ言えるが、キャリアコーチングはいらないし必要ない。お金を払ってまで受ける意味はない。転職などの書籍を読む方がよほど有益と言える。

そもそも、キャリアというのは自分で考えないと、意味はないからだ。

もし今、少しでもキャリアコーチングを受けるか悩んでいたら、ぜひ読んでほしい。

キャリアコーチングはいらない

これまでに、キャリアコーチングを受けてきた人を何人も見てきたが、これと言ってすごい変化しているわけでもなければ、むしろ、変に自己肯定感が上がっていて「転職しにくい人材」になっているケースも実際にある。

これは、転職エージェントから聞いた話だ。

「転職の面談にきても、質問用紙のようなものを見ながら質問をしていて、自分の言葉で話せていない」

「面接に行っても、どれだけ自己分析をしたのかや自分の過去の話ばかりで、仕事の話ができない」

少なくとも、僕が観測している範囲でも、高額な費用を払ってキャリアコーチングを受けたにも関わらず、転職できない人はいる。

転職することを目的としていない人もいると思うが、転職したいと考えてコーチングを受けた人にとって、逆効果になっているケースもゼロではない。

そもそも、キャリアコーチングを受ける意味がない人がほとんど

そもそもキャリアに正解はないので、受ける意味はほとんどないと思っている。

キャリアコーチングの中には「自己分析をして、過去の自分を掘り下げることで、自己理解を深めましょう」とか「スキルを棚卸して、今後のキャリアを考えましょう」というものがある。

僕の経験上、そもそも棚卸しするほどのスキルがない人が、それをやる意味はない。そもそもスキルを身につけるのが先だ。

なんでもできるからこそ、何をしたらいいかわからないなら棚卸しする必要はある。しかし、スキルが少ないのに、それを基に自己分析をしても、それに意味はない。棚卸しする商品がない人に、卸すものはない。

また、無理に過去を掘り下げて今に結びつける必要もない。

以前、「今の仕事が自分に合っているかわからない」という理由でキャリアコーチングを受け、自己分析した結果、「小さいころから人を陰で支えることが得意だったから、縁の下の力持ち的な仕事が向いていることがわかった」と、30年前くらいの経験と結び付けて結論を出し、逆に自分の可能性を閉じてしまっている人を見た。

これは、自己分析ではなく「映画が好きだと言ったら、映画監督になったほうがいいと言われた」みたいなレベルの話に近い。この結論を出すために、50万を払っていたが、本人は満足そうにしていた。

本人が満足ならそれでいいが、文章に起こして整理すると、これに高いお金を払う意味には疑問符が残る。

個人的には、小学生や学生時代に体験したことが、社会人の仕事に繋がる人はごく少数だと思うし、無理に過去とつなげる必要もないと思っている。

僕の父親は家具屋をやっていて、僕も工房に入ったりしたことはあるが、僕は今広告代理店で営業の仕事をしている。小さいころに広告には興味もなければ、人と話すことも苦手だった。でも、社会人になってから、楽しいと思うようになり、今になる。

キャリアは点と点が線になっていくものであって、いくら「点」だけを分析しても、キャリアにはならない。

おそらく、ほとんどの人が過去の原体験と今の仕事を結び付けられない。そんなもんなのだ。

キャリアは、自分の意志があればいい

「仕事に対して苦手意識があることがわかった」「どうスキルアップしていくのか意識するようになった」というキャリアコーチングを受けて変わった、みたいなコメントも見かけるが、高額な費用を払って知るべきことだったが、自問自答してほしい。

そもそも、自分を自分で根本から理解するのはすごく難しい。それなのに、初めて会った人に、お金を払って理解してもらえるかというと、答えは明白だ。

しかし、今の仕事が正解なのか、このままでいいのかと不安に思うことは誰にでもあることだ。僕も悩んだことがある。

しかし、これを解消したのは、誰に教わったわけでもないし、コーチングなどを受けたわけでも、よくわからない情報商材を買ったわけでもない。

自分の意志で選び、選んだ道を「自分なりに正解」にしてきたからだ。

キャリアにおいて、世間的な正解と自分にとっての正解は違う。人に教えてもらっている限り、それは誰かの正解でしかなく、自分の正解にはならない。自分の頭で考え、行動しない限り、満足のいくキャリアにはならないのだ。

すごい人はコーチングなんてしない

もし、僕がコーチングを受けるなら、相当すごい人に教わりたいと思う。ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、サイバーエージェントの藤田さんがやってくれるなら、いくらお金を払ってでもやるだろう。

逆に、彼らはキャリアコーチングを受けたという話を聞いたことがあるだろうか。おそらくない。

名前を聞いたこともなければ、何で成功したのかもわからない、キャリアとしても参考になる部分が少ないコーチと言われる人に、高額なお金を払う必要があるのかは、よく考えてみてほしい。

マニュアルみたいなものを参考にして教わるようなキャリアコーチングであれば、もはやAIで十分だ。人に教わるより遥かにいいアドバイスを出してくれる。知見の数が桁外れだからだ。

これもそもそも論だが、ものすごいコーチングをできる人が、一人から数十万をもらうようなビジネスをするだろうか。

本当にキャリアに詳しくてコーチングで人生を変えているなら、もっと大きなビジネスをして、個人から高額な費用をもらうビジネスはしないし、世の中にもっとキャリアコーチングが普及しているはずだ。

テレビCMでキャリアコーチングを見たことがある人、タクシー広告でキャリアコーチングを見た人、「悩んでるならキャリアコーチングがいいよ」と親が勧めてくるだろうか。

本当に必要とされ、価値があるのであれば、それくらいの世界になっているはずだ。

お金にためにやってない、という反論もあるが、それなら無料でやればいい。その方が人のためになるはずだ。

キャリアコーチングはAIで十分

AIが登場した今、キャリアコーチングはAIで十分だ。月額3,000円程度の課金で、具体的なアドバイスがもらえる。高額な費用を払う必要はない。

20代の大した転職経験も社会人経験もない人に高い費用を払うより、はるかに得られるものは多いだろう。

「自己肯定感を上げてほしい」「もっと認めてほしい」というなら、受ければいいと思う。しかし、その上がった自己肯定は社会の評価と乖離する。

認めてほしいなら、目の前の仕事を頑張るしかない。向いていないと思うなら、キャリアコーチングではなく、転職エージェントに求人をもらって、今の自分が行けるリアルな企業を知ればいい。

「あなたには、もっと自分に合った仕事があるかもしれませんよ」「あなたが必要とされる場所はもっとほかにもありますよ」

求人もない、転職の知見もない、社会人としての経験も少ない。そんな人に言われても、何の説得力もない。

そんな甘い言葉に乗ったところで、キャリアは変わらないということを知ってほしい。

キャリアコーチングよりも書籍を読む

キャリアコーチングにお金を払うなら、書籍を読んだ方がいい。ここにおすすめの書籍を紹介しておく。高額な費用を払う前に、これらを読んでほしい。

1:転職と副業のかけ算

手前みそだが、私が書いた一冊。新卒で地方ホームセンターへ入社し、転職と副業を通じて年収240万から年収4,000万に至るまでの実体験を書きました。おかげさまでAmazon総合ランキング1位Amazonビジネス書ランキング1位を獲得し、ビジネス本大賞2020にもノミネートされました。

2:転職2.0

ヤフーの元執行役員で、世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービス「リンクトイン」の日本代表を務めた村上さんの一冊。

村上さんとはForbes『自分の市場価値を知れば、「主体性」は自ずと生まれる──村上臣 x moto』でも対談させて頂いたことがありますが、キャリアについて非常に本質的な考え方を持っており、自身も転職を通じてキャリアアップをされています。

3:科学的な適職

海外論文を60本以上引用し、幸福度が最大化される”適職”を科学的根拠に基づいた方法で見つける術を紹介してくれる一冊です。

著者の鈴木さんとはbizSPA!「年収アップで転職するのは幸せ?」moto×鈴木祐が語る、キャリア選択の解で対談させていただいたこともあり、個人的にもかなりおすすめの本です。マイナビ転職の公式YouTubeチャンネルでも書籍についてお話されています。

参考になれば幸いです。

執筆者・監修者のmotoについて

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起業家・著述家。実名は戸塚俊介。広告・人材・IT業界など8社へ転職。副業でmoto株式会社を起業し、上場企業へM&A。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)代表取締役。著書:『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)、YouTubeチャンネル:『motoの転職チャンネル』。

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