
「転職エージェントはなぜ無料で利用できるのか?」「どのようなビジネスモデルなのか」「転職サイトより通過率は高いのか」など、転職エージェントの裏事情について解説します。
また、転職エージェントの裏事情を理解した上で、どのように活用すべきかや、信用できる転職エージェントの見極め方なども合わせてご紹介します。
転職エージェントの裏事情
ここからは、転職エージェントに関する疑問と裏事情について詳しく解説していきます。
裏事情①:なぜ無料で利用できるのか
A:年収の30%が転職エージェントの報酬となるためです。
転職エージェントは、企業から採用条件を確認し、求人情報をデータにします。そして、このデータをもとに求職者の希望条件にマッチした求人を転職者に紹介することで、転職活動のサポートをしています。

画像出典:リクルートエージェント公式サイト
採用企業と転職者をキャリアアドバイザーがマッチングすることで成り立っているのが、転職エージェントの仕組みです。
転職エージェントは、転職希望者と企業の間で雇用契約が結ばれると、利益を得ることができ「あなたの転職後の年収の30~40%ほど」の報酬を受け取ることができるため、転職者からお金を取ることはありません。そのため無料で利用することができるようになっています。
転職エージェントは、転職希望者がサービスに申し込んだり、企業から求人を預かったりするだけでは料金は発生しません。転職希望者に求人を紹介して、企業から内定が出て入社した時点で、採用した求人企業からコンサルティングフィーを成功報酬として受け取っているのです。成功報酬型で手数料が発生するビジネスモデルなので、企業側もリスクが低くなるため、安心して採用活動を行うことができます。
出典:リクルートエージェント 公式サイト
例えば、あなたが転職エージェントを経由して年収500万円のオファーで入社した場合、年収の30%となる150万円が転職エージェントの報酬になります。
こうしたことから、転職エージェントは求職者からお金をもらうことなく運営されています。
裏事情②:求人紹介を断られることがあるのか
A:求職者の中には求人紹介を断られてしまうケースもあります。
求人の紹介を断られる理由にはさまざまな理由がありますが、主に経歴やスキル、年齢的に紹介することが難しい、と判断された場合が多いです。
転職エージェントのビジネスモデル上、転職者の年収が高く、決まりやすい人材のほうが売り上げにつながるので、年収が低く、転職回数が多い求職者などは特に優先順位が低くなります。
もし転職エージェントに求人紹介を断られてしまったら、大手の転職エージェントだけでなく、中小の転職エージェントなども利用してみることをおすすめします。
裏事情③:早く応募してほしいと急がせる理由
A:転職エージェントは、求職者が入社したタイミングで報酬が発生する成果報酬型のビジネスであるため、多くの人に転職してもらうことが重要なミッションだからです。
転職エージェントによっては月ごとにノルマが設定されているため、ノルマを達成するために応募を急がせてくるケースがあります。
転職エージェント側の事情はこちらには関係ないので、あくまであなたが応募したいと思った企業の求人にだけ応募するようにしましょう。決して焦る必要はないので、自分のペースで転職活動をすることがおすすめです。
もし仮に、転職を急かしてくるキャリアアドバイザーで希望と違う求人を紹介してきたり、勝手に応募してくる場合は、急かす理由を聞いて納得できる理由であれば任せればいいですが、そうでない場合は自分のペースで進めたいときちんと述べ、それでも改善されない場合は担当の変更を申し出ましょう。
裏事情④:転職エージェントの方が内定しやすい?
A:転職サイトや企業の採用ページから直接応募するよりも、転職エージェントを利用するほうが内定獲得率は高いです。
転職エージェントは、人事と直接やりとりをしているため、どのような人材を求めているのか詳しく把握しています。そのため、書類の書き方や面接対策などもきちんと行ってくれます。結果として、直接応募するより選考の通過率は高くなります。
また、転職エージェントは推薦文を書いて送ってくれたり、企業との面接後に人事と連絡を取り、面接のフィードバックやフォローをしてくれます。こうしたことからも、転職サイトよりも転職エージェントのほうが内定率は高くなります。
裏事情⑤:年収交渉も任せていいのか
A:転職エージェントは転職した人の年収の30%が報酬となるビジネスモデルであるため、年収の交渉は得意です。
彼らは少しでも年収が高いほうが自分たちの売り上げにつながるため、年収交渉もしっかりと行ってくれます。
あなたが年収を上げたいという希望を伝えれば、内定後の年収交渉をしっかりと行ってくれます。転職サイトの場合は自分で交渉しなければなりませんが、転職エージェントの場合は第三者として交渉してくれるので、非常に交渉しやすいのが特徴です。
裏事情⑥:転職エージェントには目標やノルマがある
A:転職エージェントもビジネスであるため、キャリアアドバイザーにはそれぞれ数字目標があります。
そのため転職エージェントは、求職者に1社でも多くの企業を受けてもらい内定につなげる努力をしています。
転職エージェントの数字目標は求職者側には直接の関係はないですが、彼らにも目標があって行動しています。彼らの査定やボーナスに響くため、転職を決めるためにいろいろなアクションをとってくるわけです。
裏事情⑦:初回の面談で優先度を決めている
A:転職エージェントは、初回面談で求人を紹介する人の優先順位を決めています。
先ほども書いたように、転職エージェントは求職者が入社することで売り上げになるビジネスモデルになっています。そのため、入社に至らなそうな人材の優先順位は低くなります。
転職回数が多かったり、年齢的に難しいと思われる人にはあまり求人が出てこないときがあります。初回の面談で転職回数が多い理由やこれからどんなことをしたいのか、という希望をきちんと伝えておくことが大切です。
場合によっては求人を紹介されないこともあるので、初回の面談できちんと話をすることをおすすめします。
裏事情⑧:求人票に書かれていない条件も知っている
A:転職エージェントは企業の人事と直接話をして求人票を作成しているため、求人票に書かれていない情報も持っています。
そのため、それぞれの求人に細かい条件があることを転職エージェントは知っています。Web上で公開されている求人票は、性別を限定する表現や年齢を限定する表現、居住地や国籍を限定する表現などを記載することは禁じられていますが、転職エージェントはこうした条件も把握しています。
求人に応募しようとした際に、キャリアアドバイザーから難しいと言われた場合には、こうした裏の条件を満たしていない可能性があるため、確認してみるとよいでしょう。
裏事情を理解した上での転職エージェント活用方法
こうした転職エージェントの裏事情を踏まえて、どのように活用すべきか解説します。
1.希望条件を明確に伝える
転職エージェントを使いこなす上で大切なのが、自分の希望条件をきちんと伝えることです。
「すでに退職交渉しているため、すぐに転職したい」「まだ転職は考えていないが、条件に合う求人があれば受けてみたい」「年収400万以上で都内でIT企業の求人がいい」など、あなたが求めていることを転職エージェントにきちんと伝えることが大切です。
キャリアアドバイザーとの面談では、本音で今の状況や希望条件を伝えるようにしてください。
2.転職エージェントとこまめに連絡を取る
転職エージェントは、一人の担当者が数十人の求職者を担当しています。そのため、日々たくさんの連絡に対応しています。
求人の紹介だけでなく、企業側との面接日時の設定や、応募先企業からフィードバック、求職者のフォローなど、多くの業務をこなしているため、返信の早い人を優先してしまう傾向があります。
最近では、各転職エージェントがアプリなどを出していて、アプリ上でやりとりすることもでできるので、できるだけ返信を早くすることをおすすめします。
返信が早い人のほうが転職エージェントに熱意があることが伝わりますし、常に連絡を取ることで自分のフォローをしっかりとしてもらえるようになるので、連絡はこまめに行うと良いです。
3.紹介された求人に対してコメントする
転職エージェントから求人を紹介されたとき、ただ受け取って終わりにするのではなく、それぞれに求人に対してどう思ったかを伝えるようにしてください。
「なぜこの求人に応募しないのか」「どうしてこの求人が良いと思ったのか」という理由を細かく伝えておくと、転職エージェント側も徐々にあなたの希望を理解し、提案してくれる求人の精度が上がってくるはずです。
いい求人がない、とあきらめるのではなく、こちらの希望をきちんと伝えて擦り合わせていくことが大切です。
4.転職エージェントを複数利用する
転職エージェントを利用する場合、複数の転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントを複数社利用することで、各エージェントが持つ独自の求人に出会える可能性が高くなります。また、求人の質やキャリアアドバイザーとの相性なども見極めることができるので、多くの転職エージェントを同時に利用するのがおすすめです。
各転職エージェントに在籍するキャリアアドバイザーと話をすることで、さまざまなアドバイスをもらうことができる点も複数の転職エージェントを使うメリットになります。少しでもいい求人に出会うためにも、多くの転職エージェントを利用するようにしてみてください。
もしむかつく転職エージェントにあたったら『転職エージェントがむかつく理由と対処法』をご覧ください。
裏事情も踏まえて信頼できるできる転職エージェント
こうした裏事情を理解した上で、おすすめの転職エージェントをご紹介します。転職を考えている人はぜひ利用してみてください。
1:リクルートエージェント

口コミ:リクルートエージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
公開求人数:731,151(2025年10月29日現在)
求人数増減:+3,345(先週比↑up)
【公式サイト】https://www.r-agent.com/
おすすめ転職エージェントの一番手は『リクルートエージェント』。
業界最大手の転職エージェントであるリクルートエージェントは、エージェントとの面談の日程調整がしやすく、土日でもしっかり対応してくれます。また、掲載されている求人の質の高さや、面接後のフォローなどの満足度が非常に高い転職エージェントです。
また、リクルートエージェントは非公開求人を大量に保有しています。転職サイトにはない求人を選択できるので、転職サイトと転職エージェントを合わせて利用することをおすすめします。
出典:公式サイト
2:doda転職エージェント

口コミ:doda 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
公開求人数:255,355(2025年10月29日現在)
求人数増減:+514(先週比↑up)
【公式サイト】https://doda.jp/
次におすすめする転職エージェントは『doda転職エージェント』です。
doda転職エージェントは、幅広い業界の求人情報を扱う業界大手の転職エージェントで、dodaのみに掲載されている求人も多く、求人数はリクルートエージェントに次いで多いです。
初めての転職であっても、キャリアアドバイザーのサポートを受けながら応募書類を作成することができ、面談のフォローなども手厚くしてくれます。
業界大手の転職エージェントとあって大きな不満はなく、業界最大数の求人を保有しているので登録しておくことをおすすめします。
出典:公式サイト
3:マイナビエージェント

口コミ:マイナビエージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
【公式サイト】https://mynavi-agent.jp/
3つ目におすすめする転職エージェントは『マイナビエージェント』。
マイナビエージェントは「20代に信頼されている転職エージェント」として人気があります。転職エージェントの担当者がキャリアの悩みに一つ一つ丁寧に答えてくれるので、初めて転職する方でも安心です。
また、企業担当にもつないでくれるので、職場の雰囲気など、求人票に載っていない情報も企業担当から直接知ることができます。面接前などに話を聞いておくと良いでしょう。
※マイナビのプロモーションを含みます
出典:公式サイト
4:type転職エージェント

口コミ:type転職エージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★・
公開求人数:8,586(2025年10月29日現在)
求人数増減:+68(先週比↑up)
【公式サイト】https://type.career-agent.jp/
おすすめ転職エージェントの4つ目は『type転職エージェント』。
type転職エージェントは、主に関東エリアの都市部(東京・神奈川・埼玉・千葉)の求人に強い転職エージェントです。どの転職エージェントよりも手厚い転職支援サービスを行っています。
在籍しているキャリアアドバイザーは主にITやWeb、営業、販売・サービス、メーカーなどに強いため、業界を絞って転職活動を進めたい方におすすめです。
type転職エージェントは、キャリア相談から応募書類の添削・面接対策、入社にあたってのアドバイスなど、転職活動全般にわたってサポートを行ってくれるので、転職に慣れていない人にもおすすめです。
出典:公式サイト
5:JACリクルートメント

口コミ:JACリクルートメント 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
公開求人数:23,782(2025年10月29日現在)
求人数増減:+902(先週比↑up)
【公式サイト】https://www.jac-recruitment.jp/
おすすめの転職エージェント5つ目は『JACリクルートメント』です。
JACリクルートメントは転職エージェントの中でも、外資企業の求人に強みを持っています。世界11カ国のグローバルネットワークを利用し、外資系企業や海外進出企業への転職サポートを行っています。
800名の転職エージェントが在籍し、彼らが直接、企業の人事と転職者の双方とやりとりをしてくれるため、コミュニケーションがスムーズです。
JACリクルートメントが実施したアンケートでは、94.7%が「ほかの人にもこの転職エージェントをおすすめしたい」と回答しており、サポートの質においても高い評価を得ていることがわかります。
外資系や日系大手の役職付き求人が多いので、キャリアアップや年収アップ、ハイクラス求人を求める人に向いている転職エージェントです。
出典:公式サイト
そのほかのおすすめ転職エージェントも合わせてご覧ください。
裏事情を踏まえた良い転職エージェントの見極め方
こうした裏事情を踏まえて、信頼できる転職エージェントの見極め方をお伝えします。
1.各業界に特化した転職エージェントを選ぶ
転職エージェントは大きく2つに分類できます。
・幅広い業界の求人を持つ総合型転職エージェント
・特定の業界や職種の求人に特化したブティック型転職エージェント
志望業界などが決まっていない人は総合型転職エージェントを、業界や職種が決まっている人はブティック型の転職エージェントがおすすめです。
総合型は「doda転職エージェント」や「リクルートエージェント」、ブティック型は「Geekly」や「プロコミットキャリア」を指します。
2.優秀なキャリアアドバイザーを探す
転職エージェントは、会社名よりも担当者で決まります。
求人を見ているデータベースはどの転職エージェントも同じなので、どんな求人を紹介してくれるか、どれくらい企業と付き合いがあるかといった担当者個人の力量によって転職の成功率が変わってきます。
もし自分と合わない担当者に出会ったら、変更を申し出るかほかの転職エージェントを利用するようにしてください。
3.教育制度が整っている転職エージェントを選ぶ
信頼できるかどうかに、教育制度の問題があります。例えば、大手転職エージェントのdodaでは、入社から3カ月間充実した研修が設けられているため、エージェントの質がかなり担保されていると言えます。
ほかにも研修が充実していると感じるのがリクルートエージェントです。
もちろんこの2社以外にも、大手転職エージェントであれば基本的に教育制度が整っているため、信頼できる1つのポイントだと言えます。
良くないキャリアアドバイザーを見極めるポイント
こうした裏事情を踏まえて、良くない転職エージェントの見極め方をご紹介します。
1.転職相談で求人紹介のみで終わる
まず転職相談の段階でろくにキャリア相談にも乗ってくれず求人紹介しかしてこない転職エージェントはダメな転職エージェントの典型的な例です。あなたに合った求人を紹介してくれる可能性はとても低いです。
2.大量の求人を紹介してくる
大量に求人を紹介してるだけの転職エージェントもダメです。「数打てば当たる」と大量の求人情報を送り付け、運よく転職が決まったたら儲けものと思っている成功報酬目当てのエージェントです。こういう転職エージェントの送ってくる求人は質が悪いことが多いのでやめておいた方が良いです。
3.転職しましょうとしつこく言われる
転職しようか迷っているあなたに根拠もなく転職をゴリ押ししてくる転職エージェントも、成功報酬目当ての可能性が高く、親身になってくれる可能性も低いためやめておいた方がいいです。
4.企業の質問をしてもわからない
優秀な転職エージェントほど企業の内部情報にも精通しているはずです。企業に関する質問をしてもわからないことが多いような転職エージェントの紹介してくる求人情報は信用性に欠けます。
5.転職エージェントがキャリアを決めつけてくる
ベテランの転職エージェントの中には「この業界(企業)で経験を積んでいるのなら、次はこの会社だろう」とか「次は、こうしたいですよね」と、決めつけてくる人がいることがあります。多くの転職成功者を生み出してきた経験から、そのパターンを当てはめようとしてくるのです。
同じようなキャリアの人の転職事例は参考にはなりますが、まったく同じキャリアを歩む必要はありません。キャリアを決めつけられてしまうと、出てくる求人が少なくなり、他の選択肢を見ることができなくなってしまいます。転職エージェントから決めつけられたキャリアの話をされたら注意してください。
6.受かりやすい求人しか紹介しない
明らかにあなたの経歴とマッチしていて必ず通過できそうな求人ばかり紹介してくるエージェントもNGです。優秀な転職エージェントはあなたの経歴から潜在的な能力を見出し、一見チャレンジに見えるけども、あなたの能力を活かせる企業をマッチングしてくれます。そういった転職エージェントは企業からの信頼も厚く、「この人の紹介なら」と通過率も高くなります。
7.連絡や返信が遅い
連絡が遅い転職エージェントは論外です。転職において求人情報は不動産と一緒で日々発生しまた同時に採用が決まりなくなってしまいます。いかにより良い条件の求人をライバルよりも早くおさえれるかが肝心な転職活動で連絡スピードが遅い転職エージェントには任せてはいけません。
8.特定の企業や求人だけを勧めてくる
最初から特定の企業に絞り込んで紹介してくる転職エージェントは危ないです。
特殊なスキルや業界の人であれば求人が少ないケースもありますが、そうでない場合は、その転職エージェントと付き合いが深い企業だったり、成功報酬が高い求人であるケースが考えられます。「転職者を入社させる」というのがゴールになっている転職エージェントには注意しましょう。
こうした転職エージェントのデメリットについては『転職エージェントのデメリットは?活用方法やメリットを専門家が徹底解説』記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
まとめ
転職エージェントの裏事情について解説しました。
転職エージェントを最大限活用して、転職活動を円滑に進めるためにも、転職エージェントの裏事情をしっかりと把握しておくことが大切です。本記事を参考に、転職エージェントへの理解を深めていただければ幸いです。
執筆者・監修者のmotoについて
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moto
Follow @moto_recruit
起業家・著述家。実名は戸塚俊介。広告・人材・IT業界など8社へ転職。副業でmoto株式会社を起業し、上場企業へM&A。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)代表取締役。著書:『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)、YouTubeチャンネル:『motoの転職チャンネル』。

