
転職エージェントとの面談で本当にまずいのは、次の4つです。
経歴や年収を偽ること。約束や提出期限を守らないこと。本音を隠して建前だけで話すこと。不満や愚痴だけを話して終わること。この4つ以外は、たいてい取り返しがつきます。
面談は企業の面接とは違います。合否はつきません。ただ、キャリアアドバイザーは面談で聞いた内容だけを頼りに紹介する求人と企業への推薦文を組み立てるので、経歴や希望条件、転職理由が正しく伝わっていないと、届く求人がずれ、選考対策も一般論で止まります。
私がこれまで見てきた中で、面談がうまく進まない方に共通していたのは、態度や言葉遣いの問題ではありませんでした。担当者が求人を選ぶための材料を渡せていない。ほとんどがこれです。
転職エージェントとの面談で絶対にやってはいけない4つのこと
面談で担当者が確かめているのは、きれいな受け答えができるかどうかではありません。企業に推薦できる経歴か、希望条件に合う求人があるか、選考中に連絡を取り合いながら進められるか。見ているのはこの3点だけです。
だからNGも、この3点を壊す行動に集約されます。
- 経歴や年収、選考状況を偽る
- 面談の約束や提出期限を守らない
- 本音を隠して建前だけで話す
- 不満や愚痴だけを話して終わる
1.経歴や年収、選考状況を偽る
面談で唯一、取り返しがつかないのがこれです。
職務経験を大きく見せる。現年収を盛る。他社の選考状況を隠す。どれも応募先が求める条件とずれたまま選考が進む原因になりますし、選考の途中や内定後に食い違いが分かれば、内定取り消しや入社後のトラブルにつながります。
実績を魅力的に見せることと、事実を変えることは別です。数字に自信がないときは「正確な金額は確認中です」「チーム全体の実績で、担当したのはこの部分です」と分けて伝えてください。担当者はその前提で推薦文を書きます。
2.面談の約束や提出期限を守らない
遅刻、無断キャンセル、書類提出の遅れ。この3つは、転職意欲の問題だけでは済みません。
担当者は求職者との面談、求人企業との確認、選考日程の調整を同時に回しているので、時間に遅れる、職務経歴書がいつまでも出てこないという対応が重なると、仕事上の連絡姿勢まで疑われ、企業へ推薦する判断そのものがしづらくなります。
やむを得ない事情があるなら、遅れると分かった時点で連絡してください。理由は長く説明しなくて大丈夫です。「何時なら対応できるか」「いつまでに書類を出せるか」を一緒に伝えると、その場で次の調整に進めます。
3.本音を隠して建前だけで話す
気を使いすぎるのも、立派なNGです。
残業時間や評価制度に不満があるのに「成長したいので」とだけ伝えると、担当者は成長機会のある求人を中心に探すので、働き方を見直したかったはずの方に、忙しさを前提にした求人ばかりが届きます。
転職するか決めきれていない。希望条件がまだ固まっていない。年収は下げたくない。話しにくいことも、そのまま伝えて構いません。担当者に判断してもらうのではなく、求人を選ぶ材料として渡す。この感覚で話すと、30分の面談が一気に濃くなります。
4.不満や愚痴だけを話して終わる
本音を話すことと、不満だけを話すことは違います。
上司と合わなかった。残業が多かった。評価に納得できなかった。こうした退職理由を無理に明るく言い換える必要はありませんが、感情のまま話し続けると、担当者は「次の職場で何を避けたいのか」「どんな条件なら働けるのか」を判断できないまま面談が終わります。
伝えるときは、事実と次の希望に分けてください。「月40時間前後の残業が続いたので、次は繁忙期を除いて月20時間程度に抑えたい」「評価基準が分かりにくかったので、目標設定と評価面談がある会社を見たい」。ここまで言えれば、そのまま求人を探す条件になります。
NGに見えて、実はやっていいこと
面談で失敗する方より、失敗を怖がりすぎて何も言えないまま終わる方の方が、私はずっと気になっています。
「面談 NG」で調べると、マナーの話ばかりが出てきます。ただ、担当者側から見て本当に困るのは、先に挙げた4つだけです。ここから挙げる6つは、どれも遠慮しなくて大丈夫です。
1.面談中に泣いてしまう
泣いても、見捨てられません。
退職理由や人間関係の話をしていて感情が出ることは珍しくありませんし、担当者もそれなりに慣れているので、無理に明るく振る舞うより「少し整理して話します」と一度区切ってしまう方が早いです。
そのうえで、事実と次の希望に分けて話してください。「上司がつらかった」で止まると、担当者は何を避ければいいのか分かりません。「指示が毎日変わり、評価基準も分からなかったので、次は目標設定と評価面談がある環境を見たい」。ここまで言葉にできれば、涙も判断材料になります。
2.退職理由や現職の不満を正直に話す
面談での退職理由は、正直に話して構いません。
むしろ隠す方が損をします。担当者が「避けるべき職場の条件」を持てなくなるからです。ただし、面接で企業に伝える回答とは分けて考えてください。
面談では「なぜ辞めたいのか」をそのまま共有する。面接では「次に何を実現したいのか」まで整えて話す。この使い分けができると、ネガティブな退職理由がそのまま選考対策の材料に変わります。
3.オンライン面談でカメラをオフにする
カメラオフは、失礼ではありません。
ただ、何も言わずにオフにすると担当者は表情や反応が読めないまま話を進めることになるので、冒頭で一言「本日は通信が不安定なため、音声で参加します」と伝えてください。それだけで受け取られ方が変わります。
通信環境や家庭の事情でカメラを使えない方は、遠慮せず先に共有しましょう。理由を言いにくい事情なら「事情があり、音声のみで失礼します」で十分伝わります。
4.転職するか決めていない段階で面談を受ける
面談は選考ではありません。転職を決めてから受けるものでもありません。
「まだ情報収集の段階です」と最初に伝えれば、担当者は求人紹介より市場の動きや年収相場の話を中心に組み立ててくれるので、応募を急かされたくない方はこの一言を面談の冒頭に置いてください。
面談がめんどくさいと感じる方もいます。ただ、聞かれる内容はだいたい決まっていて、事前準備は職務経歴のメモ程度で足ります。30~60分で自分の市場価値の当たりが付くと考えれば、割に合う時間です。
5.担当者の変更をお願いする
合わないと感じたら、担当変更を申し出て問題ありません。
良い担当者は希望条件をそのまま受け取って終わりにせず、転職市場に照らしてどこを広げるべきか、どこは譲らない方がいいかまで説明してくれます。希望と違う求人を大量に送ってくる。応募だけを急がせる。こういう進め方が続くなら、早めに変更を頼んだ方が時間を無駄にせずに済みます。
伝え方はシンプルで大丈夫です。「もう少しこの業界に詳しい方に相談したい」「希望条件の整理から相談したい」。担当者個人への不満ではなく、相談したい内容を理由にすると角が立ちません。
6.ほかの転職エージェントの利用や選考状況を伝える
併用していることは、隠さずに伝えてください。
2~3社に登録して、紹介される求人、担当者の説明、返信の速さ、面接対策の具体性を比べる。これは普通の進め方ですし、担当者も併用を前提に動いています。
むしろ黙っている方が事故につながります。同じ企業に2社から応募が入ると、企業側で重複応募として処理され、選考が止まることがあるからです。応募済みの企業と現在の選考段階は、その都度共有しておきましょう。
初回面談で聞かれることと、先に整理しておくこと
初回面談は、合否を判断される場ではありません。求人紹介に必要な情報を、担当者と一緒に整理する時間です。
聞かれることはだいたい決まっています。次の4つを先に押さえておけば、30~60分の面談を無駄なく使えます。
1.これまでの経歴と担当業務
職種名だけでは、担当者は求人を選べません。
営業なら新規か既存か、法人か個人か、扱っていた商材、目標数字と達成状況。事務職なら担当業務、使用ツール、月次処理の範囲、社内外のどこと調整していたか。このあたりまで話せると、紹介の精度がはっきり変わります。
全部を細かく話す必要はありません。次の仕事でも使いたい経験、評価された経験、もう続けたくない業務。この3つに分けてメモしておくだけで足ります。
2.転職理由と退職理由
ほぼ必ず聞かれます。
ここで面接用の優等生な答えを用意する必要はありません。面談で必要なのは、担当者が求人を絞り込むための情報です。「何が嫌だったのか」「次はそれをどう避けたいのか」。この2つがそろっていれば、言い方は整っていなくて構いません。
面接での伝え方は、応募先が決まってから担当者と一緒に作れば間に合います。
3.希望条件と優先順位
希望条件は、幅を持たせて伝えるのがおすすめです。
年収は「最低ライン」と「希望ライン」の2段階。勤務地は「通勤できる範囲」。働き方は「週何日の出社まで対応できるか」。ここまで整理しておけば担当者は求人を探す幅をその場で決められますが、全部を固定すると求人が消え、全部を任せると希望から外れた求人が届きます。
優先順位が決められない方は、現職で不満に感じていることを3つ書き出してください。譲れない条件は、たいていその裏側にあります。数は2~3個に絞りましょう。
4.こちらから聞いておきたいこと
面談は、質問される場であると同時に質問できる場です。
聞いておきたいのは、希望職種の求人動向、応募先の採用背景、選考で見られる点、その職種で多い離職理由、入社後の働き方あたりです。求人票に出てこない残業時間、評価制度、配属先の雰囲気、リモートワークの実態も、担当者経由なら企業へ確認してもらえることがあります。
「絶対に入らないほうがいい業界はありますか」と広く聞いても、一般論しか返ってきません。「自分の希望条件だと、避けた方がいい業界や企業タイプはありますか」。主語を自分に寄せると、答えが具体的になります。
面談の服装と通信環境
服装で落とされることはありません。ただ、当日の朝に迷って消耗するのはもったいないので、先に決めてしまいましょう。
1.対面もオンラインもオフィスカジュアルで足りる
スーツは必須ではありません。
転職エージェントの面談は企業面接ではないので、対面でもオンラインでもオフィスカジュアルを選んでおけば外しませんし、男性だから女性だからという特別なルールもありません。清潔感があって、仕事の相談に向いた服装なら十分です。
面接本番の服装に迷っている方には、あえて本番想定の服装で参加する方法をおすすめします。担当者に「この服装で応募先の面接に行って問題ないか」を聞けば、その場で答えが出ます。
2.オンライン面談は背景と明るさ、音声を先に確認する
Zoomなどのオンライン面談で見られているのは、上半身、髪型、背景、画面の明るさです。
部屋が映るのが気になる方は、ぼかし機能やバーチャル背景を使ってください。逆光になっていないか、顔が暗く映っていないかは、開始5分前に自分の画面で一度確認しておきましょう。音声はイヤホンマイクがあればほぼ問題になりません。
接続テストは前日でも当日でも構いません。ただ、当日にアプリのアップデートが走ると開始時刻に間に合わないことがあるので、私は前日までに一度つないでおくことをすすめています。
3.電話面談は場所と手元の資料で差が出る
電話面談は、場所選びがほとんどすべてです。
周囲の音が入りにくい場所を選び、職務経歴書と希望条件のメモを手元に置いてください。移動しながら、作業しながらの面談は、希望条件の伝え漏れに直結しますし、年収や勤務地の話はあとから修正するほど求人の精度が落ちます。
静かな場所を確保できないなら、日程をずらしてください。その方が結果的に早く進みます。
面談の進め方が雑だと、支援はどう変わるか
担当者に悪い印象を持たれても、いきなり切られることはありません。
実際に起きるのは、もっと地味な変化です。求人紹介と選考対策の優先度が、静かに下がります。担当者は同時に何十人も支援しているため、連絡が取れない方、希望が分からない方、話の事実確認に不安がある方には、踏み込んだ提案を出しづらくなります。
この状態が続いたときにどうなるかは『転職エージェントに見捨てられる理由と対処法』にまとめています。
1.連絡や提案の優先度が下がる
面談後に連絡が来ないだけで、見捨てられたと判断する必要はありません。求人の確認や企業側との調整に時間がかかっていることもあります。
気にした方がいいのは、こちら側に原因がある場合です。必要書類を送っていない。返信が遅い。希望条件が毎回変わる。この状態が続くと、担当者は次の提案を出すタイミングを失います。
途切れたと感じたら、自分から確認してください。「現在紹介可能な求人はありますか」「追加で共有した方がいい情報はありますか」。この2つを送れば、たいてい動き出します。
2.紹介される求人が減る、または希望からずれる
紹介求人が少ない理由は、2つに分かれます。
単純にその条件の求人がない場合と、面談で伝えた条件が広すぎる、または狭すぎる場合です。年収、勤務地、リモートワーク、職種、業界をすべて強く指定すれば該当求人は数件まで絞られますし、反対に希望があいまいなら、担当者は一般的な求人を送るしかありません。
求人が少ないと感じたら、「絶対に譲れない条件」と「良い求人なら調整できる条件」に分けて伝え直しましょう。印象を良くするための作業ではありません。自分に合う求人を探す範囲を、担当者と共有し直すためです。
3.書類添削や面接対策が浅くなる
添削と面接対策の質は、担当者が持っている情報量で決まります。
面談で本音を隠した、経歴をあいまいに伝えた。この状態では、応募先に合わせた自己PRや退職理由の整理まで踏み込めません。依頼するときは、応募したい求人、職務経歴書、面接で不安な質問。この3点をセットで送ってください。
「面接対策をお願いします」だけでは、担当者も一般的な想定問答しか返せません。「退職理由の伝え方を確認したい」「未経験職種への志望動機を見てほしい」。頼み方を具体的にするほど、返ってくる内容も具体的になります。
登録から内定までの流れと、面談の位置づけ
転職エージェントの登録から内定までは、大きく5つの段階に分かれます。面談はその2段階目です。

【転職エージェントの登録の流れ】
STEP1. 転職エージェントに登録する
STEP2. 面談・カウンセリングを受ける
STEP3. 希望する求人の紹介を受ける
STEP4. 書類添削・面接対策
STEP5. 企業との面接・内定
1.登録から面談までの進み方
まずは、転職アンテナで紹介している転職エージェントの中から、自分の希望職種や年代に合うサービスへ登録します。
登録後は、メールや電話で「面談のご案内」が届きます。案内に沿って日程を調整してください。面談方法はオンライン、電話、対面のいずれかで、時間は30~60分前後が目安です。
職務経歴書、希望条件のメモ、聞きたいことのリスト。この3つを手元に置いておけば、確認漏れはほぼ防げます。話す内容が整理できていなくても、担当者と会話しながら固めていけば問題ありません。
2.面談後の求人紹介から内定まで
面談後、即日~数日ほどで希望に合いそうな求人が届きます。
気になる求人があれば、応募意思を担当者に伝えてください。応募前に、求人票では分からない採用背景、配属先、残業時間、選考で重視される点も確認しておきましょう。希望と合わない求人が続く場合は「どこが合わないのか」を年収か仕事内容か勤務地かで返すと次の提案が修正されますし、それでも合わなければ担当者変更や別の転職エージェントの併用を検討してください。
応募先が決まったら、履歴書と職務経歴書の添削を依頼します。多くの転職エージェントでは、登録、面談、求人紹介、書類添削、面接対策、条件交渉まで無料で使えます。ただしサービス範囲は会社ごとに違うので、登録前に公式サイトで確認してください。
面接対策では、過去に聞かれた質問、評価されやすい経験、内定者の傾向を教えてもらえることがあります。回答の型を先につかんでおきたい方は『転職の面接対策におすすめの本』もあわせてどうぞ。実際に聞かれる質問と答え方は「【対策必須】転職で面接対策しないと難しい質問と回答を転職の専門家が徹底解説」にまとめています。
書類選考を通過すると、企業との面接に進みます。マイナビ転職では、転職活動実態調査(2025年)をもとに、応募または紹介された件数の平均を13.6件、書類選考通過数の平均を5.1件と紹介しています。応募数を増やせばいいわけではありませんが、1社ずつ結果を待つより、準備できる範囲で複数社を同時に進めた方が比較しやすくなります。
在職中で時間が限られる方は、同時進行を3~5社程度に絞りましょう。応募企業が増えすぎると、企業研究も日程調整も雑になります。
面接後は、手応えとうまく伝えられなかった点を担当者に共有してください。転職エージェント経由で、企業側に補足してもらえることがあります。内定後の年収交渉も同じです。自分で企業へ直接伝える前に、まず担当者に相談しましょう。
まとめ
転職エージェントとの面談で絶対にやってはいけないのは、次の4つです。
- 経歴や年収、選考状況を偽る
- 面談の約束や提出期限を守らない
- 本音を隠して建前だけで話す
- 不満や愚痴だけを話して終わる
逆に言えば、それ以外はかなり自由です。泣いても、退職理由を正直に話しても、カメラをオフにしても、担当者の変更をお願いしても構いませんし、転職するか迷っている段階の相談も歓迎されます。
面談前にやることも多くありません。職務経歴、転職理由、希望条件、転職時期を簡単にメモしておく。服装は面談方法に合わせてオフィスカジュアルで整える。オンラインなら音声と背景を先に確認しておく。これだけです。
面談は、担当者に評価される場ではありません。自分に合う求人と選考対策を引き出す場です。遠慮して当たり障りのない話で終える面談が、私は一番もったいないと思っています。疑問も希望も、その場で言葉にしてください。
執筆者・監修者のmotoについて
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起業家・著述家(Wikipedia)。実名は戸塚俊介。広告・人材・IT業界など8社へ転職。副業でmoto株式会社を起業し、上場企業へM&A。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)代表取締役。著書:『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)

